ハンドメイド商品を取り扱うECサイトと言えば、欧米を中心に人気の「Etsy」や「Fab」 が有名だ。今回は、この大手2社の後を猛スピードで追う「Pinkoi」というという台湾のECサイトを紹介しよう。
「Pinkoi」は台湾発のデザイナー・ハンドメイド商品を扱うEC
Pinkoiは、2011年に台湾でローンチしたソーシャルEコマースである。アジアを拠点に、台湾の優れたデザイナー製品やハンドメイド商品を低価格で提供している人気のECだ。Pinkoiの名前の由来は、「Pink(ピンク色)」と日本語の「koi(恋・来い)」から来ている。当初は、女性をターゲットにしており、このビジネスに幸運が来るようにという願いが込められている。
2011年のローンチ後たった1年で、Etsyの初年度売上高の2倍の約3,400万円を記録したPinkoiは、2013年現在、月間PV400万を誇るECサイトに成長している。この爆発的な成長を支えている理由は数多くあるが、優れた台湾の工芸品やデザイナーの商品を取り扱う人気のECサイトが、台湾ではPinkoiしか存在しないことは、大きな差別化要因となっている。
このPinkoiを台湾唯一の存在に育てたのが、創業者のPeter Yen(顏君庭)氏だ。彼はYahoo!にいた時に「Etsyのようなデザインにフォーカスしたwebサイトが台湾にはない」という問題意識を抱え、「台湾の独立したアーティストの商品を、世界中に広める」ことを実現すべく、Pinkoiを創業したのだ。
2億円規模の資金調達で世界を狙う
現在、Pinkoiは150万〜200万米ドル(約1.5〜2億円)の大型の資金調達を計画中である。この巨額の資本投入で、香港、中国、シンガポール、日本、マレーシアといったアジアを中心に、一気に世界に打って出るつもりだ。
実は、Pinkoiには2011年の段階で、いくつかのファンドから投資のオファーが来ていた。しかし、それを断り、これまでスケールアウトのために入念な準備をしてきた。巨額の資金を得たPinkoiの勢いは、 一気に世界へと加速すると考えられている。
差別化が求められる日本のハンドメイドEC
一方で、日本でもEtsyのようなハンドメイドのECサイトが続々と出現しているが、台湾とは少し状況が異なる。tetote・minne・Creema・iichiといったように、非常に賑やかな顔ぶれとなっている。しかしながら、それぞれのECサイトにはまだ特徴がないため、差別化には工夫が要るようだ。
まとめ
Etsy、Fab、Pinkoiのような資本力のある大手三者が日本で展開すると、既存のマーケットは大きく影響を受けるだろう。日本の多くのハンドメイドECが、いずれ淘汰されるか、あるいはまたは統合されることも十分あり得る。
Etsyのような美しく使いやすいUIやデザインを真似ることは簡単だが、生き残るためにはただ真似るだけでなく、早い段階で何かしらの「差別化」を図ることが必須だ。日本を含めてEtsy、Fab、Pinkoiが世界中で顔を合わせ、勝負する日は近い。引き続き、3社の動向に注目していきたい。