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「越境EC」という言葉を聞いたことがありますか?
越境ECとは、海外の消費者向けに主にネット通販で商品を販売する事を指し、近年注目を浴びているキーワードです。
日本のECサイトで海外のユーザーが商品を購入するパターン、もしくは海外サイトで日本人が商品を購入するパターン両方を含めて「越境EC」と呼びます。


注目の理由はもちろん、日本のEC事業者にとって今後の大きな販路拡大手段になる可能性を秘めているからです。
今回は、越境ECの規模と、将来の展望について紹介したいと思います。

 

経済産業省は「平成23年度我が国情報経済社会における基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」を発表しました。

この調査の中で注目したいのは「米中間の3カ国相互間の越境電子商取引(以下:越境ECにおける動向」です。以下にポイントをまとめてみました。

 

【チェックポイント1】日本のECサイトにおける海外からの購入は既に1,500億円超

図の通り、中国の消費者の日本のサイトでの購入額は1,096億円、同様にアメリカの場合は471億円で合計1,567億円が、越境ECの市場規模となります。(2011年推計値)

日本におけるBtoCのEC市場規模が8.5兆円と言われていますので、現在2%弱のシェアを占めているといえます。

また、中国における前年(2010年)の購入は968億円となっており、前年比13%上昇となっています。

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見方を変えて、国別の消費者の越境EC購入額を見てみると、中国は2,331億円となり、日本人消費者の越境EC購入額145億円に比べ大変高く、中国人消費者の越境EC利用頻度が高い事がうかがえます。国ごとの人口やインターネット普及率を考慮してもかなり高いのではないでしょうか。

我々日本人からすると、「海外サイトで商品を購入する事はあまりない」というのが一般的な回答だと思いますが、国ごとの越境ECのデータを見てみると、思いのほか海外ユーザー、特に今回のデータで言えば中国のユーザーは、日本のサイトでの買い物に意欲的だという事がわかります。

そして、実際に中国のユーザーに越境ECについてのアンケートをとった結果、年々積極的に利用したい、という声が増えてきている事がわかっています。それが次のデータです。

 

【チェックポイント2】中国における越境EC利用頻度・利用意向は増加傾向

越境ECを「週に1~2回くらい購入」「週に3~5回くらい購入」している利用者が、中国においては2009年はわずか6.8%だったのに対し、2011年は18%と大幅に増加しています。

また、まだ越境ECを利用した事がない方へのアンケート結果も、今後利用したい、という回答が前年に比べ飛躍的に高くなっており、これも注目すべきポイントと言えます。

(下図参照)
 

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【チェックポイント3】中国のネット普及率増加が越境EC飛躍のカギ

現在中国におけるインターネット普及率は、まだ40%と言われています。、(日本は80%弱)

中国のインターネット普及率は今後まだまだ増加していくと予想されていますが、それが越境ECの成長をさらに後押しすると考えられています。

 

まとめ

越境ECの現在と今後の展望についてまとめると以下の2

  • 日本における越境EC市場規模は1,500億円(推定値)
  • 海外、特に中国ユーザーの越境EC利用頻度・意向が上昇
  • 中国におけるインターネット普及率増加が越境ECの成長を後押しするカギ

経済産業省では、中国のインターネット普及率は2020年には60~80%となると想定しています。この想定と、現在の市場規模推移、越境EC利用意向アンケートの結果を全て踏まえて、今後の市場規模を予測した際、経済産業省は日本における越境ECの市場規模が2020年に約2兆円を超えると試算しています。

現在のBtoC EC市場規模の20%まで成長する可能性を秘めているというわけですね。

あくまで考えられる可能性の話になりますが、EC事業者にとって期待せずにはいられない市場であることは間違いないですね。

 

※参考資料
経済産業省 平成23年度我が国情報経済社会における基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」

CHINAPRESS 2012年7月19日「中国インターネット普及率39.9%に達する」