アメリカの大手小売店、コストコメイシーズが、中国EC市場への参入を計画している。中国のEC市場は、成長率166%という驚くべきスピードで拡大しており、2015年には世界最大になると予想されている。今回は、この巨大マーケットに挑む2つの大手小売店について紹介しよう。

 

実店舗より先にECを展開

 

中国に進出した小売店と言えば、米国のベストバイホームデポが思い出される。だが、事情の異なる中国のマーケットで2社とも苦戦を強いられ、わずか数年で店舗事業を撤退している。

 

店舗事業が厳しいのは、中国国内の小売店も同様だ。中国では、景気悪化から消費が低迷し、小売市場の伸びが鈍化している。そのため、小売業界の店舗間競争が激化し、販売不振から閉店する小売店が相次いでいる。そんな中、中国進出を狙うコストコ、メイシーズは、リスク回避のために店舗事業を避け、まずはECに特化した事業展開を選択した。

 

パートナー企業を探すコストコ

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コストコは会員制の倉庫型ストアで、世界8カ国に600店舗を展開している。店舗のほとんどが郊外にあり、巨大な倉庫に豊富な商品を取り揃えていることから、遠出して楽しむテーマパークのような特性がある。そのユニークなスタイルが受け、日本や台湾では、爆発的な人気が出ている。

 

たが、中国でEC展開する場合は、店舗特有のテーマパーク性が出せない。先行する他のECとどう差別化を図るかが、重要な課題となってくる。コストコは現在、中国進出の要となるパートナー企業を探している段階だ。EC事業の明暗を大きく分ける、パートナー企業とのアライアンスの組み方に注目したい。

 

高級品ECのJiapinと組むメイシーズ

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メイシーズはアメリカを中心に、430店ほどの店舗を展開する百貨店である。コストコより準備が早く、既に中国の高級ディスカウントEC「Jiapin」をリニューアルし、販売店にすることが決定している。新しいサイトは今年の6月に公開される予定だ。

 

メイシーズは昨年6月にJiapinに出資しており、これまで着々と準備を進めて来た。EC展開後は、実店舗でのテスト販売も計画しており、ECと店舗販売を組み合わせたO2Oモデルに取り組む予定だ。

 

中国における小売業のEC事情

 

ところで、中国の小売業のEC市場は、モール型ECのTmallが44%、JD(旧360buy) が16%占有しており、ほぼ2社の独占状態となってしまっている。

 

Tmallは、提携企業からの直接販売や厳しい出店条件を設ける事で、偽造品を排除し、中流層の消費者から圧倒的な指示を得ている。一方でJDは、商品の海外配送や音楽ストアの立ち上げ等で着々と事業を拡大している。大手二社が占有するこの厳しいマーケットの中で、異国の小売店であるコストコやメイシーズがどの程度ユーザーを獲得できるかは未知数だ。

 

まとめ

 

中国のEC市場は急激に拡大している。だが、巨大ECモールの大手2社がほぼ独占しており、新規参入は慎重に行わなければならない状況だ。

 

実店舗の展開よりもEC展開の方が、遥かにリスクは低い。しかし、先行するマンモスECに立ち向かうには、徹底した差別化が必要だ。マーケットを絞り込みニッチ領域を狙うか、ブランドの開発に注力するか、等のポジショニングの明確化が求められてくる。コストコとメイシーズが中国のEC市場でどのように戦うのか、引き続き注意深く観察したい。