モバイル・コマースは、2013年に21億ドル(約2,066億円)に、今後3年間で622億ドル(約6,119億円)にまで拡大すると推計されている。本ブログでは、以前、急成長するモバイル・コマースに小売業がどう対処すべきかを紹介した。(参考:「米での市場は6000億規模へ!モバイル・コマースが小売業を変える7つのポイント」 )
今回は、さらにもう一歩踏み込んで、小売業が消費者にモバイル・アプリを提供すべき4つの理由を解説したい。
1. 小売店モバイル・アプリの利用時間が急増
モバイル・アプリとは、スマホ向けに開発されたアプリケーションで、モバイル用に最適化されたwebサイトとは異なる。スマートフォンにインストールすればブラウザを開くことなく使用できるモバイル・アプリは、直接ショップがさまざまなコンテンツを提供できるため、ユーザーにも受け入れられやすい。
実際にモバイル・アプリを利用するユーザーの滞在時間も増えている。モバイル・アクセス分析会社Flurryは、アプリユーザーの滞在時間が2011年からの1年で、132%増加したと発表した。
特に、滞留時間が著しく増加したのは、WalmartやMacy’s、Gapなどの小売店が提供するアプリだった。その数値は、なんと前年比525%、約6倍増というものだった。消費者がモバイル・アプリからの買い物を好んでいる事がよくわかるデータだ。
2. 作成が簡単なモバイル・アプリ
Apache CordovaやPhoneGapは、HTML5やCSS、Java Scriptを使って、簡単にアプリ開発ができるツールである。アップルiOS、アンドロイド、ブラックベリーOS、Windows Phoneなど、個別にアプリ開発が出来る専用プラットフォームもリリースしている。
最近では、Intelが無償のアプリ開発ソフト「Intel XKD」を発表したばかりだ。アップルiOS、アンドロイド、Kindleなどのクロスプラットフォーム対応になっている。webサイトと同じように、アプリを開発するには専門知識と技能が必要だ。しかし、これらのツールを使うことで、比較的簡単にアプリ開発が実現することを知ってほしい。
3. アイディア次第で生まれる様々な用途
アプリ開発というと、革新的、実用的でなければいけないと思う人が多くいる。だが、小売店のアプリは、製品カタログとショッピングカートというシンプルな構造で良い。商品のディスプレイと価格設定以外は何もする必要がないのだ。
さらに、複雑な構造が必要ない上、多様な使用方法が考えられる。例えば、アパレル店であれば、月刊ファッション雑誌やカタログとしてアプリを開発できる。スポーツ用品店であれば、スポーツの公式ルールブックアプリなどでも良いだろう。モバイル・アプリは、コンテンツを提供するツールとして有効であり、ショップ側との関係維持に非常に役立つのである。
4.競合他社がモバイル・アプリを提供
ITコンサルティング会社のコグニザントによると、トップの小売業者の84%が少なくとも一つのアプリを提供している。これはつまり、アプリを持っていない小売店は、既に出遅れている事を意味している。規模の大小に関わらず、アプリ提供は商機を見いだす上で重要な戦略だ。
まとめ
日本では、ヤマダ電機、TSUTAYA、LAWSON、無印、など続々と小売業がアプリを提供し始めている。モバイル・アプリ開発ツールは豊富にリリースされており、小さな店舗でもアプリの作成が容易になっている。モバイル・コマースの拡大は顕著だ。競合他社にユーザーを囲い込まれる前に、アプリ作成を検討してみてはどうだろうか。
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