最近、リアル店舗で商品を確かめた後に、ネットで購入する消費者が増加している。この実店舗がショールーム化する現象を、「ショールーミング(Showrooming)」と呼ぶ。
ショールーミングで一番恩恵を受けているのは、アマゾンだ。価格比較アプリを提供し、品揃えの多さや価格で勝負している。他のECは、アマゾンに太刀打ちできない状況だが、今回は、小売ECがショールーミングでアマゾンに負けないための秘訣を紹介する。
リアル店舗とECの強みを活かす英・百貨店ジョンルイス
ジョンルイスは、イギリスの老舗百貨店だ。実店舗を活かしたO2Oの取り組みで、アマゾンに負けずに、ECで着々と売上を伸ばしている。
1. モバイルコマースで顧客の囲い込み
ジョンルイスは、思い切って店舗内のWi-Fiをフリーにし、顧客がスマホで商品を検索できる環境をつくった。その結果、多くの来店者は他のECや価格比較サイトでなく、同社のサイトにアクセスした。
ジョンルイスのモバイルサイトやアプリは、商品の詳細な情報や商品レビュー、商品評価、専門家の意見などの多様な情報を、文字だけでなくビデオでも提供している。こうした質の高い情報をモバイルで数多く提供することによって、同社は顧客を囲い込むことに成功している。
2. ユニークな顧客体験の提供
ジョンルイスは、QRコードを活用した24時間のバーチャルストアをオープンしている。気に入った商品のQRコードを読み取ることで、モバイルストアで簡単に商品を購入できるというものだ。以前、本ブログで紹介した英TescoのO2O事例と同じ手法である。
このようなユニークな買い物体験は、顧客に大きなインパクトを残し、購買へと繋がる可能性を一段と高めてくれる。ジョンルイスは、リアルとオンラインをうまく連携させることで、顧客の心を惹き付けることに成功していると言える。
アマゾンの手の届かないローカル特化型オンラインビジネス
HUBBUBやFarmigo、Good Eggsは、地元の農家や商店の商品を、地域限定に販売するサービスだ。食の安全や地産地消の関心が高まる今、これらのビジネスは欧米を中心に急成長している。
このビジネスの特徴は、ローカルに特化することで顧客に新たな価値を提供している点だ。アマゾンのサービスでは、地元で生産される採れたての野菜や果物、あるいは地元で作られ、販売地域が限定される製品を提供することが難しい。ローカル特化型オンラインビジネスでは、地域限定で商品を提供することで、ショールーミングとアマゾンをうまく避けることができている。
【参考】「地方の八百屋が生き残る方法「ローカル特化型オンラインビジネス」
まとめ
スマホ利用者が急増する今、ショールーミングは避けられない現象と言える。リアル店舗でしか提供できない価値をオンラインと連携させながら、顧客に提供していくことが、アマゾンに打ち勝ち、生き残る鍵となるだろう。今回の事例を参考に、ぜひEC運営にエッセンスを取り入れてほしい。
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