Monogramは、昨年秋にローンチされたiPad専用のEコマースだ。「買い物ができるファッション雑誌」というコンセプトで、大きな注目を浴びた。だが、ローンチから半年、蓋を開けてみたら、全く期待に背く結果となり、軌道修正を余儀なくされた。今回は、その失敗の背景と再起を図る新サービスについて紹介しよう。

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2つの失敗要因

 

Monogramは、提供されるコンテンツの中から自分が好きなファッションアイテムを集めて、オリジナル雑誌を作ることができるサービスである。ただ写真を収集し雑誌化するだけでなく、気に入ったアイテムを購入することもできる。このサービスの大きな売りの一つは、ソーシャルコマース機能により、誰でも簡単にお気に入りのファッショアイテムを広められることだった。だが、これが全く当たらなかった。

 

ソーシャルコマースでは、ユーザーがシェアする動機が必要だが、Monogramでは、ユーザーに十分な動機付けができなかった。さらに、そもそもシェアできるコンテンツが少なかったという致命的な敗因がある。バージョンアップ後の新しいサービスでは、突破口となるアイディアから、この2つの問題を解決している。

 

キーファクターは、ファッションブロガー

 

多くの女性は、憧れのファッショニスタの情報を、常時チェックしている。生まれ変わったMonogramでは、ファッションの最先端を行くブロガーの求心力を借りることにした。これまでとの大きな違いは、ブロガーが単にお気に入りのファッションアイテムを収集、雑誌化するだけでなく、サイトを作り込める編集機能が付加された点だ。つまり、ブロガーが自分の好きなようにコンテンツを作成できるようにしたのだ。

 

これにより、ユーザーにはファッショニスタお勧めのアイテムを閲覧、購入できるという動機が生まれ、不足していたコンテンツはブロガーによって充実させられるようになる。さらに、iPad専用だったサービスを、PC、タブレット、モバイルなど多様なデバイスに対応するように変更した。

 

新アフィリエイトモデルでブロガーを活性化

 

さらに、新Monogramの注目すべき特徴は、ブロガーのためにアフィリエイトのリンク機能を提供している点だ。将来的には、ブロガーを通して商品が購入された場合は、販売された製品に応じて報酬を支払うモデルも計画中である。

 

まとめ

 

Monogramが早い段階で、ユーザーのニーズとサービス価値とのギャップに気づきスピーディに路線変更した点は、安易なソーシャルコマースがリスキーだということをよく物語っている。

同社の大きな失敗要因は、ユーザー目線が足りなかったことだ。自社のECは、狙い通りユーザーの共感を生んでいるのだろうか、一度、客観的な視点に立ち、再考してみることをお勧めする。同社が、ファッションブロガーにフォーカスしたコンテンツ重視の新たなモデルで、どこまで巻き返しが図れるか注目したい。