アジアは2013年に世界最大のEC市場に成長すると言われている。特に、女性の購買力には大きな注目が寄せられている。世界的に見て、EC市場は女性の関心度が高いファッション分野が市場を牽引している。
だが最近では、「美容分野」も徐々に賑わいだしてきた。今回は、アジアで確実にホットトレンドとなるであろう、「美容分野」のサブスクリプション型ECを紹介しよう。
継続的な売上確保を可能にするサブスクリプション型EC
サブスクリプション型ECとは、毎月、ショップ側がチョイスした商品が送られてくる定期購入型のECサイトのことを言う。日本では2012年くらいから盛り上がりを見せている。継続的な売上の確保や、在庫リスクを軽減できることから、多くのEC事業者から注目が寄せられるビジネスモデルだ。
韓国のMemebox
Memeboxは、美容化粧品をパッケージ化して低価格で提供しているサブスクリプション型ECだ。サンプル商品や新商品を、メーカーからマーケティング用に無料提供されているため、仕入れコストがかかっていない点が画期的だ。現在は10万人ものユーザーを抱えており、タイへの進出も計画している。
出典:Memebox
シンガポールのVanity Trove
Vanity Troveは、今、最も勢いのあるサブスクリプション型ECだ。一箱25ドル(約2400円)送料無料で、12,000円相当の美容グッズを提供している。今年に入り、同様のビジネスモデルを持つベトナムのGlamyboxと台湾のGlossyboxを次々に買収し、急激に規模を拡大している。
出典:Vanity Trove
インドネシアのLolaboxとBeautyTreats
インドネシアでは、lolaboxとBeautyTreatsがしのぎを削っている。二社とも美容分野でローンチ時期がほぼ同じサブスクリプション型ECだ。シンガポールのVanity Troveの次なるライバルとも言われている。
出典:lolabox
出典:BeautyTreats
日本で展開するGLOSSYBOX
GLOSSYBOXは、ドイツ生まれのサブスクリプション型ECだ。世界中のビューティーアドバイザーがセレクトしたサンプル品を提供している。日本でのサービスは2011年12月に始まった。
日本では、サンプル品が薬局や百貨店で簡単に、しかも無料で入手できる。そのため、日本でのこの種のECを展開する場合は、どう付加価値をつけるかが重要になるだろう。韓国版のGLOSSYBOXは、シンガポールのVanity Troveに買収されていることから、日本でのGLOSSYBOXの展開が気になるところだ。
出典:GLOSSYBOX
美容系サブスクリプション型ECの3つの成功要素
ここまで見て来た事例から、サブスクリプション型ECには、3つの成功要素があることが分かる。
1.毎月異なるものが届けられるワクワク感
顧客にとっては、何が届くか分からないというワクワク感が、定期購入継続のモチベーションになっている。
2. ブランド力の構築
韓国のMemeboxでは、化粧品以外の洋服やカミソリの定期購入販売も着手したが、ことごとく失敗している。化粧品は、各商品にもともとブランド力があるため成功している。パッケージ商品のブランド力を育てることが鍵である。
3.低い原価
どのサイトも化粧会社のマーケティングとして試供品の提供を受けている。原価を低く押さえられている点も、美容系ECサイトの強みと言える。
まとめ
今回紹介した美容系ECのビジネスモデルは、メーカーがサンプル提供できる他の分野でも適用できる。例えば、おもちゃやお菓子といった日用品や食品でもいいだろう。日本でどのようなサブスクリプション型ECが生まれてくるか、楽しみである。
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