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アメリカや中国のEC市場も非常に活発な今、日本市場よりも魅力的だと思える海外進出を考えているEC運営者の方もいるかと思います。しかし、いきなり海外進出と言われてもピンと来ないでしょうし、どのようにしてやっていけばいいのかも分からないことばかりです。

 

そこで今回は日本企業の海外進出の事例を読み解き、ECが海外進出するためには何が必要なのか、そのヒントを探ってみましょう。

 

1. 日本企業の海外進出の推移

日本企業の全世界における海外進出は2011年で1017件と、ピークだった2004年の1048件とほぼ並び、海外進出の勢いは復活しつつあります。近年の特徴としては、進出先の分散が進んでいることです。

 

新規進出先の国別ランキングにおいては、未だに中国が頂点に君臨しているものの、以前よりも中国一辺倒ではなくなっており、インドネシアに端を発するASEAN諸国が増加傾向にあります。自動車の急激な需要増などによって、製造業や加工業の進出が進んでいるのです。

 

2. 日本企業の海外進出の成功例

では、日本企業の海外進出の成功事例を見てみましょう。大塚製薬のインドネシア子会社「アメルタインダ大塚(AIO)」は海外進出し始めた当時は1億本にも及ばなかったポカリスエットの販売本数を4.5億本に伸ばし、成功をおさめています。

 

進出当初は通用しなかった日本式のセールス方法を変えたのです。イスラム教徒の多いインドネシア国民に、断食明けにポカリスエットを提供し、水分補給には最適である、と広く認知させたのです。

 

その結果、商品は定着し、売り上げ本数も4.5億本にのぼるようになりました。現地の文化・宗教事情を考慮し、うまく商品PRを行った結果、成功したのです。

 

3. 日本企業の海外進出の失敗例

次に失敗事例を見てみましょう。

 

大手通信業者のNTTドコモはiモードで世界進出を狙って実際に海外進出は果たしましたが、あえなく失敗に終わりました。

 

なぜ失敗したのか?それは日本国内でのマーケティングをそのまま海外に適用したからです。日本で求められているサービスと海外で求められているサービスは違いがありました。日本企業の作る携帯電話端末は高性能・多機能で便利なものでしたが、外国人には不要な付加機能が多すぎたのです。

 

海外進出先の市場調査不足による日本企業の販売戦略の行き違いが起きたわけです。

 

4. 海外進出のための課題

これまで日本企業の海外進出の事例を見てきたように、海外マーケットへの進出には、解決しなくてはならない色々な問題があります。

 

例を挙げると、進出前の市場調査や、進出形態の決定、オフィスの選定や現地従業員の採用など、どれも独力で達成するのはなかなか困難な要素です。さらに、進出先の認可制度をクリアするには、現地政府とのパイプも必要になってきます。

 

そこで重要になってくるのが、現地で実績のある、信頼できるパートナーを見つけることです。新規事業を立ち上げるためには、現地の人間と対等に渡り合わなければならないので、基礎的な日常会話が出来るくらいの言語能力が無いとコミュニケーション面で苦労するでしょうし、慣習の違いによるトラブルや、詐欺などのリスクも起こりえます。

 


そういった問題点を軽減してくれるのが、折衝役のビジネスパートナーです。日本企業の海外進出には、やはり欠かせない存在ですね。

 

おわりに

今回は日本企業の海外進出の事例を様々な角度から見てきました。

 

その成功事例だけでなく、失敗事例からのほうが学ぶことは多いはずです。何も考えずに海外進出するのではなく、目の前にある一つ一つの段階をどのようにクリアしていくのかを、慎重に検討しなければなりません。