174

ECサイトにかかわらず、小売業の方なら誰でも考えなければならない問題のひとつに、在庫の問題があります。今回は、その中でも「在庫回転率」に焦点を当ててみたいと思います。

在庫回転率の意味とはどのようなものでしょうか、そして、なぜ小売業において在庫回転率が重要な指標とされるのでしょうか?

 

1.在庫回転率とは?

まず、在庫回転率とはなんのことかについてご説明しましょう。

在庫回転率とは、在庫が一定期間で何回入れ替わっているか(回転しているか)ということを見る数字です。

 

例えば、在庫回転率が1年間で2回、と言った場合には、「在庫が1年間で2回入れ替わっている」ということであり、「仕入れた(もしくは製造した)製品が半年で売上になっている」ということを意味しています。

 

2.在庫回転率の計算方法は?

ある期間における在庫回転率を求める場合の計算方法を見てみましょう。

 

これは、会計期間中の売上原価を期末の在庫金額で割って計算します。

 

  • 在庫回転率 = 売上原価 ÷ 棚卸資産

 

例えば、売上原価1,000、棚卸資産200の会社の棚卸資産回転率は以下の通りです。

 

  • 1,000÷200=50  在庫回転率=50回

 

より正確に在庫回転率を求める場合には、分母となる「棚卸資産」の数字を、

「(期首棚卸高+期末棚卸高)÷2」に置き換えて計算します。

これにより、期中の「平均在庫高」を算出することができるからです。

 

3.適正な在庫回転率とは?

在庫回転率は、その数字が大きいほど仕入れから販売までの期間が短いということを意味しますので、効率的には良いということになります。

 

その在庫回転率が適正であるかどうかは、算出された数字からだけでは判断することはできません。同業他社の数字と比較したり、過去の実績と比較をしたりする必要があります。

もちろん、在庫回転率が高い方が優秀であることに間違いはありませんが、その基準は業種によってかなり異なります。

 

例えば、生鮮食品を販売するような業種の場合、その在庫回転率はおそらく100程度となります。生鮮食品の賞味期限は短く、販売できる期間が限られているためです。

 

製造業の場合、在庫回転率は低くなります。平均的には5から10程度でしょう。長期間保存することが可能となるとなるため、製品は生鮮食品のようなスピードで入れ替わることはありません。

 

その数字は大変低いですが、それは一概には「不適切」とは言えません。同じ業種内での基準と照らし合わせて判断すべきなのです。

 

 

4.在庫回転率から何がわかる?

その業態における、適正な在庫回転率がわかれば、自社の在庫回転率と比較してみましょう。

 

在庫回転率が高い場合は、倉庫に商品が留まることなく、販売されていることを意味していますので、在庫管理がうまくいっていることを意味します。しかし、その一方で在庫切れを起こす可能性も示唆しています。

 

在庫回転率が低い場合、その在庫を仕入れた(もしくは製造した)費用は売上になっていないということです。過剰な在庫や不良在庫を常に抱えていることを意味していますので、そのままでは経営状態の悪化を起こしかねません。

 

商品ごとに在庫回転率を算出することにより、どの商品が売れているか(在庫回転率が高いか)、どの書品の動きが悪いのか(在庫回転率が低いのか)を客観的に判断することができるようになるのです。

もちろん、平均値を算出する数値ですので、特定の時期にのみ売れるような商品がある場合にはこのような判断はできない場合もあることは覚えておいてください。

 

まとめ

運営するECサイトの規模の大小にかかわらず、在庫の過小・過大は経営に即座に直結する問題です。

 

在庫回転率を手がかりに、どのくらいの在庫数や発注頻度が適正な在庫なのかを予測し、それをよりよい在庫管理に生かしていきましょう。