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スポーツ・アンリミテッドは、米国のスポーツ用品を取り扱う小売店だ。今年6月4日に、モバイルサイトをリニューアルしたところ、コンバージョン率が42%、モバイルコマースの売上が36%も増加した。それは、小売業のモバイルコマース専門のアンバウンド・コマースと提携し、サイトの充実化を図ったのが大きな原因のようだ。モバイルサイトの主な変更点を順に見ていこう。

 

検索ボックスの追加と、カテゴリーページの充実化

 

商品件数の多さが、スポーツ・アンリミテッドの特徴だ。そのため、顧客が商品を見つけやすいように、サイトのトップページに検索ボックスを追加した。さらに、カテゴリー分類の表示をより分かりやすい表示に変更した。具体的には、トップページのSHOPのボタンを押すと、カテゴリーの大分類が表示され、そこから小分類へとページをスムーズに移行できる仕組みになっている。

 

これにより、モバイルでも顧客が簡単に商品を見つけやすくなった。PCよりも画面の小さなモバイルにおいて、顧客が商品を検索する際のストレスを軽減することは非常に重要だ。

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バリエーション豊富な画像の掲載

 

新しいモバイルサイトでは、取り扱っている全ての色のバリエーションの商品写真が掲載されている。さらに、画像をクリックすると、拡大写真も表示されるようになった。商品を実際に手に取って確認できないオンラインショップでは、画像は購入を決定する際の非常に重要な要素になる。複数の写真が掲載されることで、より実店舗に近い形で商品を確認してもらえるようになる。

 

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商品の詳細情報の掲載

 

一つ一つの商品ページに、商品のスペックやデザインに関する詳細情報が新たに追加された。商品の情報が少なすぎると、顧客は購入を躊躇する。商品にまつわるストーリーや細かい部分の説明が加えられることで、顧客の商品理解を促すことが可能になり、購入に迷った時に背中を押してくれる存在となる。

 

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商品レビューと5段階評価の実装

 

購入者が使用した実感などが分かる商品レビューのページが設けられ、5段階評価機能も実装された。実際にその商品を購入、使用した人の感想が掲載されていると、サイズ感、色味、使用感といった購入前では分からない情報を得ることができるため、顧客の購入のハードルが下がる。

 

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決済プロセスの簡素化

 

Paypalでの支払いが可能になり、チェックアウトのステップを5から3ステップに減少させた。決済プロセスを複雑にすると、途中で離脱する顧客が出てくる。チェックアウトを簡素化することで、少しでも顧客のストレスを軽減することが重要だ。

 

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ソーシャルコマース機能の追加

 

FacebookやTwitter、Google+といったSNSと連携し、ソーシャルコマース機能が実装され、全ての商品情報をSNS上でシェア出来るようになった。知人のお勧め情報や口コミは、売り手の売込み文句よりも信頼度が高い。新たな顧客層にリーチする上で、ソーシャルコマース機能は最も効果的な手段である。

 

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まとめ

 

 

今回、紹介したスポーツ・アンリミテッドのモバイルサイトの変更箇所は、実は、あらゆるECサイトで重要だとされる設計のポイント、つまり、検索のしやすさ、豊富な画像、詳細な商品説明、シンプルなチェックアウト機能、ソーシャルメディアとの連携機能と、基本的には同じである。スマホの普及によってモバイルユーザーが増える今、早急に、モバイルサイトの質の向上に努めることをお勧めする。

 

画像出典:スポーツ・アンリミテッド 

中国、インドネシアなどのアジアを中心としたEC市場は、急激に拡大している。それに伴い、海外進出にチャレンジする日本のEC事業者も増えて来た。今回は、ECサイトを海外展開するために押さえておきたい7つのポイントを紹介しよう。

 

1.進出国にあった価格に設定し直す

国が違えば市場環境も全く異なる。安易に日本で販売している価格設定で商品を販売するのは避けよう。その国の競合他社をリサーチし、その国のマーケットにあった価格に設定するべきである。国はもちろん地域によって価格が異なることもあるので、進出前に徹底的に調査しよう。

 

2.現地通貨に対応しよう

商品画面や決済画面で他国の通貨が表示されると、多くの顧客は買い物することを止めてしまう。購買率を上げるためにも、必ず顧客が慣れ親しんでいる現地通貨で表示するようにしよう。

 

3.価格は切りの良い数字で表示する

日本では、1999円等の1円単位の価格表示までしているショップが多いが、それが必ずしも海外で良い効果を生むとは限らない。むしろ、顧客を困惑させる要因になることもある。複数の買い物をする時の暗算の手間を省き、顧客の購買における意思決定を簡素化するために、切りの良い数字で表示することも選択肢にいれよう。

 

4.現地に適した支払い方法を提供する

日本ではコンビニ払いが可能なECサイトが多いが、これは日本特有の文化である。海外には、その国の決済に関する文化が存在する。クレジットカードも先進国では一般的だが、発展途上国ではそうとは限らない。必ず現地で主流となっている支払い方法を調査し、それに対応するようにしよう。

 

5.税の表示方法に気をつける

国によって、税金の表示方法は異なっている。例えばアメリカでは、各州によって税率が異なる。これらを事前に調べ、その国にあった税額の表示方法に対応する必要がある。

 

6.現地に適した配送システム、カスタマーサポートを設計する

日本のオンラインショップで注文すると、ほぼ確実に、綺麗な状態でその商品は届く。しかし、配送システムが未成熟な国では、商品が破損する確率が高く、場合によっては届かないことすら起こりえる。そのような物流の違いを踏まえ、予め返品や料金の払い戻しができるよう設計する必要がある。

 

7.文化の違いを徹底的に調査する

基本的なことだが、進出したい国のユーザー行動や嗜好を徹底的に調査してほしい。例えば、Facebookは、日本語のログインページでは情報の公開範囲が設定できて安心だということを訴え、英語のページでは無料で世界中の友達とつながれることをアピールしている。このように、国によって見せ方のポイントが全く異なるため、事前に徹底した調査が必要になってくる。

 

まとめ 

いかがだっただろうか。世界のEC市場は、今年中には120兆円まで達すると予測され、アジアでは最も大きな成長が見込まれている。海外進出に潜むリスクを徹底的に回避しながら、果敢に海外ECの成功に向けてチャレンジしてほしい。

アジアは2013年に世界最大のEC市場に成長すると言われている。特に、女性の購買力には大きな注目が寄せられている。世界的に見て、EC市場は女性の関心度が高いファッション分野が市場を牽引している。

 

だが最近では、「美容分野」も徐々に賑わいだしてきた。今回は、アジアで確実にホットトレンドとなるであろう、「美容分野」のサブスクリプション型ECを紹介しよう。

 

継続的な売上確保を可能にするサブスクリプション型EC

サブスクリプション型ECとは、毎月、ショップ側がチョイスした商品が送られてくる定期購入型のECサイトのことを言う。日本では2012年くらいから盛り上がりを見せている。継続的な売上の確保や、在庫リスクを軽減できることから、多くのEC事業者から注目が寄せられるビジネスモデルだ。

  

韓国のMemebox

Memeboxは、美容化粧品をパッケージ化して低価格で提供しているサブスクリプション型ECだ。サンプル商品や新商品を、メーカーからマーケティング用に無料提供されているため、仕入れコストがかかっていない点が画期的だ。現在は10万人ものユーザーを抱えており、タイへの進出も計画している。

 

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出典:Memebox

 

シンガポールのVanity Trove

Vanity Troveは、今、最も勢いのあるサブスクリプション型ECだ。一箱25ドル(約2400円)送料無料で、12,000円相当の美容グッズを提供している。今年に入り、同様のビジネスモデルを持つベトナムのGlamyboxと台湾のGlossyboxを次々に買収し、急激に規模を拡大している。

 

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出典:Vanity Trove

 

インドネシアのLolaboxとBeautyTreats

インドネシアでは、lolaboxBeautyTreatsがしのぎを削っている。二社とも美容分野でローンチ時期がほぼ同じサブスクリプション型ECだ。シンガポールのVanity Troveの次なるライバルとも言われている。

 

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出典:lolabox

 

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出典:BeautyTreats

 

日本で展開するGLOSSYBOX

GLOSSYBOXは、ドイツ生まれのサブスクリプション型ECだ。世界中のビューティーアドバイザーがセレクトしたサンプル品を提供している。日本でのサービスは2011年12月に始まった。

 

日本では、サンプル品が薬局や百貨店で簡単に、しかも無料で入手できる。そのため、日本でのこの種のECを展開する場合は、どう付加価値をつけるかが重要になるだろう。韓国版のGLOSSYBOXは、シンガポールのVanity Troveに買収されていることから、日本でのGLOSSYBOXの展開が気になるところだ。

 

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出典:GLOSSYBOX

 

美容系サブスクリプション型ECの3つの成功要素 

ここまで見て来た事例から、サブスクリプション型ECには、3つの成功要素があることが分かる。

 

1.毎月異なるものが届けられるワクワク感

顧客にとっては、何が届くか分からないというワクワク感が、定期購入継続のモチベーションになっている。

2. ブランド力の構築

韓国のMemeboxでは、化粧品以外の洋服やカミソリの定期購入販売も着手したが、ことごとく失敗している。化粧品は、各商品にもともとブランド力があるため成功している。パッケージ商品のブランド力を育てることが鍵である。

3.低い原価

どのサイトも化粧会社のマーケティングとして試供品の提供を受けている。原価を低く押さえられている点も、美容系ECサイトの強みと言える。

  

まとめ

今回紹介した美容系ECのビジネスモデルは、メーカーがサンプル提供できる他の分野でも適用できる。例えば、おもちゃやお菓子といった日用品や食品でもいいだろう。日本でどのようなサブスクリプション型ECが生まれてくるか、楽しみである。

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出典:為替イメージ

 

日本だけでなく急成長する海外のEC市場を狙った展開を考える事業者は多いのではないだろうか。今回は、ECの海外展開の際に最も気になる各国の決済手段に関する動向を紹介しよう。

 

アメリカ

 

経済産業省の報告書によると、2011年のアメリカのEC市場規模は約16兆4900億円、EC利用者が 1 億 4,080 万人、EC 利用率 71.2%であった。

 

決済においては、クレジットカードが60.3%、デビットカードが49.0%と、この二つの支払い方法が多いのが特徴だ。また、Paypalといった第三者支払いサービスが30.6%と比較的高い割合で活用されている。また、モバイル決済市場の拡大が著しく、Forresterによると、2012年の約1兆2800億円から2017年には約9兆円と7倍に拡大する見込みである。

 

中国

 

中国のEC利用者は2010年に 1億 6,051 万人(人口の35.1%)、2011 年には 1 億 9,395 万人(37.8%)に達している。また、2011年のEC市場は約9兆7820億円に達し、2015年には16兆まで成長すると言われている。

 

決算においては、第三者支払いサービスの利用者が多いのが特徴だ。中国のEC市場の8割をCtoCが占め、各プラットフォームが提供する決済システムが使われるためだ。プラットフォームでは、「支付宝(Alipay)」の利用率が最も高い。

 

フランス

 

フランスのEC市場は、ヨーロッパで特に活発だ。2010 年のEC市場規模は、約1兆9,900億の規模に達した。ヨーロッパ全体では、2011年の 約12兆8400億円から、2016年までには約22兆 8412億円まで上昇する見込みだ。

 

決済においては、デビットカードが8割を占める。また、第三者支払いサービスであるPaypalの利用率の高い点が目を引く。アメリカ発のPaypalは欧州では広く受け入れられている。ここは日本とは違う部分なので、要注目だ。

 

インドネシア

 

2013年のインドネシアの市場規模は約1800億円と予測され、アジア一の成長率を誇る。インターネット人口数は、日本の総人口を超える1億3500万人にまで達している。

 

決済においては、多くが銀行振り込みで、次に代金引換の利用者が多い。一方で、クレジットカードの所持率が総人口の3%に満たないため、クレジットカード決済は非常に少ない。

 

ベトナム

 

ベトナムは政府が「2010~2015 年電子商取引発展計画」を策定し、主にBtoBのECに力を入れている。Eコマース市場は2013年に約686億円規模で、2015年には13億ドルに達する見込みだ。約1288億円まで達すると予測されている。

 

決済においては、代金引換が9割を占める。電子決済に関しては、実物の確認後に支払う習慣が根強くあるため、まだまだ普及には時間がかかりそうだ。

 

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 出典:平成23年度我が国情報経済社会における基盤整備報告書

 

まとめ

ECの決済手段は、各国の文化や通信環境、政府の方針などで全く異なる。海外ECを展開する際は、現状の決済手段だけでなく、今後急速に伸びそうな決済手段も含めて調査し、現地に適した海外ECを展開してほしい。


マレーシアのEC市場は200億円程度だ。日本やアメリカなどと比較するとまだ小規模の市場だが、インターネット普及率が60%とアジア諸国の中では高く、インターネット等のネットビジネスに必要なインフラ環境も早々に整備されているため、今後の高い成長が見込まれている。今回はそんなマレーシアで存在感を増しているECの事例を5つ紹介しよう。

 

ZALORA:東南アジアのZOZOTOWN、8ヶ国で展開中

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出典:ZALORA

 

日本で言うとZOZOTOWNに近いファッションECのZALORA。マレーシアに加えて、フィリピン・シンガポール・ベトナム・インドネシア・台湾・タイ・香港に進出している。主な製品はアパレルで、おしゃれな服を取り揃えている。

 

基本的には日本円で3000円近辺の商品が多く、日本の感覚だと安いと感じるかもしれないが、東南アジアでは少し高めの料金設定だ。しかしながらサイトのデザイン性と商品の充実具合からマレーシアでも大人気のファッションECサイトとなっている。運営はドイツに本社を構えるRocket Internetで、世界中で数多くのECサイトを運営している経験が存分に発揮されている。

 

Lelong:ネットオークションサイト

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出典:Lelong

 

アメリカのeBayや日本のヤフオクがそうだったように、オークション系のECサイトはECの裾野を広げる良いきっかけになることも多い。 Lelongは、マレーシアで最初のオークションサイトである。売り手は自分のページを個別に作成し、そこで商品を販売できる。また、売り手に対する独自の査定基準がある上、買い手は売り手と直接コミュニケーションが取れるため、買い手の不安払拭にも配慮がなされている。

 

Blooming.:ギフト商品のECサイト

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出典:Blooming  


Blooming  は、花やお菓子、フルーツバスケットなどのギフト商品を販売するECサイトだ。美しい写真と分かりやすい価格表示、検索しやすいナビゲーション、商品の追跡機能など、顧客の購買体験を向上させる配慮が至る所になされている。


Ked.ai:マーケットプレイス型モバイルコマース

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出典:Ked.ai 

 

Ked.ai は、商品の出品登録を徹底的に簡素化したマーケットプレイス型のモバイルコマースだ。写真をアップロードするだけで自動的に商品名やジャンルを認識し、登録してくれる。また、売り手側に対して優良な販売者かどうかの評価がなされ、買い手はそのレートを見て買い物の判断ができるようになっている。 このように、最近ではモバイル端末の急速な普及を背景に、モバイルに特化したEC先進国顔負けのECサイトも登場してきている。

 

Sereni & Shentel:ヘッドバンドに特化したECサイト

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出典:Sereni & Shentel  

 

Sereni & Shentel  は、ボルネオ島に活動拠点をおく女性が運営するECサイトだ。商品は、デザイン性に優れたユニークなヘッドバンドのみを取り扱っている。強みは、ここでしか買えない商品だ。多くのセレブが愛用するほど、その知名度が高まっている。

 

まとめ

 

これから伸びてくるマレーシアのEC市場。まだまだECのジャンルは少ないが、ECサイトのモバイル経由のトラフィックは20%と予想されるなど、楽しみな部分が多い国だ。参入のチャンスがたくさんありそうなので、アジア地域の中でもポテンシャルのあるマレーシアから、今後も目が離せない。

 

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