新しくリリースされたiphone5s/5c。iphoneにもおサイフケータイ機能NFCが搭載されるのではないかと大きな注目が集まった。残念ながら今回のバージョンではNFCは搭載されなかったが、その代わりにNFCに似たiBeaconが追加された。また、PayPalでも新たな決済サービスPayPal Beaconが発表された。NFC、iBeacon 、PayPal Beaconの3つにはそれぞれどのような特徴があるのか。今回は、これら3つの決済サービスの違いを見てみよう。
1. NFC
NFC (Near Field Communication)は、国際標準規格として承認された近距離無線通信技術のことを意味する。10センチ程度の距離で、接触することなく「かざす」だけで通信、決済できるものを定めた規格だ。
Suicaやおサイフケータイ、Android端末のスマホに搭載されているFeliCaは、NFCの仲間である。圧倒的に速い通信速度と確実性が評価され、日本では主流の決済方法となっている。だが、FeliCaはNFCとの互換性がないため、チャージ・支払い機能等がNFCでは使用できない。日本において、このような決済サービスはFelicaが主流で、NFC対応の決済サービスが少ないため、スマホのNFC対応も送れていると考えられる。
2. iBeacon
NFCの代替機能として注目されている決済サービスがiBeaconだ。Estimoteが開発したセンサーを利用した近距離無線通信技術である。NFCとの大きな違いは、50メートルの距離でも通信可能な点だ。iBeaconは、NFCでは必要だった「かざす」行為が必要なく、ユーザーが退店するだけで決済が完了できる。また、入店時にクーポンを発行したり、目的の商品まで誘導したり、ユーザーが店内のどこを見て回ったかを把握することも可能だ。
NFCではモバイル端末にNFCが搭載されていないとユーザーが利用できないことに対し、BeaconはBluetooth LEが搭載されていればすぐに利用できるため、ユーザーにとってのハードルがかなり低い。ただし、ユーザーがBeaconを利用するためのアプリは各店舗で開発する必要がある。開発力さえあれば魅力的な決済サービスだと言えるだろう。
3. PayPal Beacon
PayPal Beaconは、PayPalが発表したBluetooth LEを利用した決済サービスだ。iOSやAndroid端末にインストールしたPayPalアプリにクレジットカード情報を登録しておくだけで、簡単に支払いを済ませられる。iBeaconと同じく、スマホを持って店に立ち寄るだけで商品の決済が済ませられるため、商品を受け取るだけで買い物が完了できる。
iBeaconとの違いは、常に店側にユーザーの位置情報を検知されることがない点だ。また、店側は、アプリを自前で用意する必要がなく、PayPal Beacon専用のデバイスをコンセントにさすだけでよい。さらに、PayPalと互換性のあるPOSシステムがあれば自動的に連動するため、店側がわざわざPayPal支払いだけを別管理したり、既存のPOSシステムに入力したりという手間が少なくて済む。決済サービスの中でも比較的導入しやすいのが特徴だ。
まとめ
今回は3つの決済サービスについて紹介した。至近距離で確実性の高い「かざす」決済のNFC、顧客動向を検知しクーポンまで配布できるハンズフリー決済のiBeacon、特別なアプリを必要とせず店舗負担が少ないハンズフリー決済のPayPal Beacon、それぞれに異なった利便性がある。それぞれの特徴を踏まえた上で、これらの新決済サービスの導入を検討することをお勧めする。